特別養護老人ホームの費用と補助
特別養護老人ホーム(特養)への入所を検討する際、最も気になるのが費用面ではないでしょうか。「親の預貯金で賄えるのか」「自分の生活を圧迫しないか」という不安を抱える方は少なくありません。このセクションでは、特養の基本費用構造と利用できる補助制度について解説します。
特別養護老人ホームの基本費用構造
特養の費用は大きく分けて「施設サービス費」「居住費」「食費」「日常生活費」の4つから構成されています。2023年度の全国平均では、月額12〜15万円程度が一般的ですが、立地や施設の設備によって変動します。
| 費用項目 | 内容 | 月額目安(全国平均) |
|---|---|---|
| 施設サービス費 | 介護保険から給付される基本サービス (自己負担は1〜3割) |
2〜6万円 |
| 居住費(滞在費) | 部屋代(多床室/個室/ユニット型個室など) | 1〜6万円 |
| 食費 | 1日3食の食事代 | 3〜5万円 |
| 日常生活費 | 理美容代、おむつ代など | 0.5〜2万円 |
知っておくべき主な補助制度

経済的負担を軽減するために、以下の補助制度を活用できます。
1. 負担限度額認定:所得に応じて居住費・食費の上限額が設定される制度です。例えば、住民税非課税世帯(第3段階②)の場合、ユニット型個室の居住費は1日あたり1,310円に抑えられます。
2. 高額介護サービス費:月々の自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。一般的な所得の方(第2段階)の場合、月額上限は24,600円です。
3. 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度:低所得者を対象に、社会福祉法人が運営する施設では利用料の一部を減免することがあります。
厚生労働省の調査によると、これらの補助制度を活用することで、住民税非課税世帯の場合、月額費用を6〜8万円程度まで抑えられるケースが多いとされています。

また、入所時に必要となる入所一時金については、近年は徴収しない施設が増えていますが、徴収する場合でも介護保険の対象外となるため、事前に確認が重要です。
特別養護老人ホームとは?入居条件と基本的な費用体系
特別養護老人ホームの定義と入居資格
特別養護老人ホーム(特養)は、介護保険法に基づく介護老人福祉施設で、常時介護が必要な高齢者のための生活施設です。2015年4月の法改正により、原則として要介護3以上の方が入居対象となりました。ただし、要介護1・2でも、認知症による問題行動や虐待リスクなど特別な事情がある場合は例外的に入居できることがあります。
全国的に待機者が多く、厚生労働省の調査によると2019年時点で約29万人が入居待ちの状態でした。入居までの平均待機期間は地域によって異なりますが、都市部では2〜3年かかるケースも珍しくありません。
費用体系の基本構造
特養の費用は大きく分けて以下の4つから構成されています:
- サービス費用:介護保険の自己負担分(1〜3割)
- 居住費:部屋代(多床室・従来型個室・ユニット型個室で異なる)
- 食費:1日3食分の食事代
- 日常生活費:理美容代、レクリエーション費用など
このうち、サービス費用・居住費・食費については、所得に応じた「負担限度額」制度が適用されます。例えば、年金収入が80万円以下の方(第1段階)の場合、多床室の居住費は0円、食費は日額300円に軽減されます。
また、基本料金に加えて「加算」という追加料金が発生することがあります。看護体制や栄養管理の充実度、認知症ケアの専門性などに応じて、様々な加算が設定されているため、入居前に詳細を確認することが重要です。
佐藤さん(仮名・75歳)の例では、年金月額12万円で第3段階に該当し、多床室利用の場合の月額費用は約8万円でした。同じ施設でもユニット型個室だと12万円程度になるため、経済状況に合わせた選択が必要です。
特養の月額費用の内訳と実際の負担額シミュレーション
特養入所時の基本費用構造

特別養護老人ホーム(特養)の月額費用は大きく分けて「介護保険サービス費」「居住費」「食費」「日常生活費」の4つから構成されています。実際の負担額は、入所者の所得や資産状況によって大きく異なります。
介護保険サービス費は要介護度に応じて設定され、原則として1割負担(所得により2割または3割)となります。例えば要介護3の場合、月額で約2万円〜3万円程度の自己負担となるケースが一般的です。
実際の月額費用シミュレーション
以下は、要介護3の方が特養に入所した場合の月額費用シミュレーションです。
| 費用項目 | 第1段階 | 第3段階② | 第4段階 |
|---|---|---|---|
| 介護サービス費(1割) | 約23,000円 | 約23,000円 | 約23,000円 |
| 居住費(多床室) | 0円 | 370円/日 | 855円/日 |
| 食費 | 300円/日 | 650円/日 | 1,445円/日 |
| 日常生活費 | 約10,000円 | 約10,000円 | 約10,000円 |
| 月額合計(30日計算) | 約42,000円 | 約63,600円 | 約102,000円 |
加算による費用増加要因
基本費用に加えて、施設によっては様々な「加算」が発生します。例えば、看護体制加算(約5円/日)、夜間配置加算(約10円/日)、栄養マネジメント加算(約14円/日)などがあり、これらは入所者の状態や施設の体制によって異なります。
実際に2022年の調査データでは、特養の平均月額費用は、負担限度額認定を受けている方で約5〜7万円、受けていない方(第4段階)で約10〜15万円となっています。
特養費用の負担を検討する際は、自治体の相談窓口やケアマネージャーに相談し、ご自身の所得・資産状況に応じた正確なシミュレーションを行うことをお勧めします。また、施設見学の際には、加算項目の詳細や実際の月額費用の見積もりを必ず確認しましょう。
特養入居者向け費用補助制度と負担限度額認定のしくみ
特別養護老人ホームの費用は決して安くありませんが、所得に応じた様々な補助制度が用意されています。ここでは特養入居者が活用できる補助制度と、特に重要な「負担限度額認定」の仕組みについて解説します。
負担限度額認定制度とは
特養での居住費・食費は本来全額自己負担ですが、低所得者には「負担限度額認定」という制度があります。この認定を受けると、所得に応じて1日あたりの居住費・食費の上限額が設定され、それを超える分は「特定入所者介護サービス費」として介護保険から給付されます。

例えば、第1段階(生活保護受給者等)の方の場合、居住費は多床室で0円、ユニット型個室で820円、食費は300円が上限となります。一方、第3段階②(課税年金収入等が80万円超120万円以下)の方では、居住費は多床室で370円、ユニット型個室で1,310円、食費は1,445円が上限です。
補助制度を利用するための条件
負担限度額認定を受けるには以下の条件を満たす必要があります:
– 世帯全員(別世帯の配偶者含む)が住民税非課税であること
– 預貯金等が単身で1,000万円(夫婦で2,000万円)以下であること
– 市区町村の窓口で「負担限度額認定」の申請をすること
実際のケースでは、東京都内に住む佐藤さん(78歳・年金収入80万円)の場合、第3段階①に該当し、ユニット型個室の特養に入所した際の月額費用は約11万円でした。負担限度額認定がなければ約16万円かかるところ、約5万円の負担軽減となりました。
高額介護サービス費との併用
特養入居者は「負担限度額認定」に加えて「高額介護サービス費」も併用できます。これは1か月の介護サービス利用料の自己負担額が上限を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度です。所得に応じて月額上限が設定されており、例えば住民税非課税世帯の場合、月額24,600円(世帯)が上限となります。
2022年の厚生労働省の調査によると、特養入居者の約65%が何らかの補助制度を利用しており、適切に制度を活用することで経済的負担を大きく軽減できることが示されています。
知っておくべき特養の加算項目と費用変動要因
特別養護老人ホームの基本費用に加えて理解しておくべきなのが、各種加算項目と費用変動要因です。これらを知ることで、実際の支払い額の予測や将来的な費用変動への備えが可能になります。
主な加算項目とその内容

特養では基本サービス費に加えて、施設の体制や提供するサービスに応じた「加算」が発生します。主なものには以下があります:
– 看護体制加算:手厚い看護体制を整えている施設で加算(月額約1,200〜2,400円)
– 夜間配置加算:夜間の職員配置が基準を上回る場合に加算(月額約600〜1,800円)
– 個別機能訓練加算:専門職による個別リハビリを実施する場合(月額約1,000円)
– 栄養マネジメント加算:栄養士による個別の栄養管理を行う場合(月額約1,400円)
– 看取り介護加算:終末期ケアを行う場合(対象期間中に約1,000〜4,000円)
東京都内のA特養では、これらの加算により、入居者一人当たり月額平均で約8,000円の追加費用が発生しているというデータもあります。
費用が変動する主な要因
特養の費用は固定ではなく、以下の要因により変動することがあります:
1. 要介護度の変化:要介護度が上がると基本サービス費も増加
2. 制度改定:介護保険制度の3年ごとの見直しで料金体系が変わることがある
3. 物価上昇:食費や光熱費の値上がりに伴う居住費・食費の改定
4. 収入状況の変化:世帯の課税状況や収入による負担限度額の区分変更
特に注目すべきは、2021年8月の制度改定で「補足給付」の要件が厳格化され、これまで第3段階だった方の一部が第4段階になるなど、自己負担が増えたケースが多く見られました。
実際に神奈川県のB特養では、この改定により入居者の約15%が負担区分の変更を経験し、月額負担が2〜3万円増加したという事例もあります。
将来の費用変動に備えるためには、制度改定の情報をこまめにチェックし、収入や資産状況の変化が負担区分にどう影響するかを把握しておくことが重要です。また、施設と定期的に費用に関する相談の機会を持つことで、突然の負担増を避けることができるでしょう。

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